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ゴールドジムでパーソナルトレーニングを受講してくださっているクライアントTさんが、過日見事ホールインワンを手にされ写真を提供してくれました。
米国Golf Digest誌によると、平均的なアマチュアゴルファーのホールインワンの確率は1/12,000、ツアープロの場合でも1/3,000なのだそうです。
素晴らしいことです。めでたい *\(^ ^)/*
一生に一度あるかないかの幸運、日本ではその偉業を周囲と共有しなければいけないという暗黙のルールがあるとのこと。
ゴルフ場やキャディさん、一緒にラウンドしたプレイヤー、その他関係者や知人などにお礼を渡す慣例があり、その費用を賄うための保険がおりるのだそうです。
僕も記念のQUOカードを頂きました。ありがとうございます。
Tさんがなし得た結果は、決して幸運だけで起こったわけではありません。
エリートビジネスマンとして多忙な中、できる限りの時間を費やして基礎体力と運動機能、競技技術の向上訓練を続けてこられました。
長い間の積み重ねの結実です。
「仕事をひと段落つけてもっと練習量を増やさないと難しい」とはおっしゃていますが、
将来的にはアマチュアトーナメント出場、プロテスト合格を視野に入れていらっしゃるとのことで、Tさんの心身の充実ぶりからすれば必ず夢が叶うと思います。
このホールインワンも未来からの一足早いメッセージという側面もあるのかもしれませんね。
今の世相において、不安材料がない人などいないと思いますが、Tさんは仕事でもトレーニングにおいても常に前を向いて進んでらっしゃいます。
Tさんの(自然な)努力と能力に比べれば、お役立ちできたのは微々たる部分ですが、今回、一緒に進めてきたパーソナルトレーニングの内容の一部を、ご本人の許可のもとご紹介します。
身体能力向上やメンテナンス、ゴルフスイングの重要なポイントについて、少しでも多くの方の参考になれれば幸いです。
ベースとなる身体機能と連動|何よりも大切なこと
一般の方が、身体機能や能力を上げたい、またはボディメイクを行いたいと考える際に、ほとんどの人が「一番はじめのボタン」についての視点が欠けていることが多くみられます。
例えばゴルフを上達させるために下半身や体幹部を強化しようと考えたとします。
こちらのサイトにわかりやすいメニューが紹介されています。
https://golfsapuri.com/article/10005384
下半身強化メニューとしてスクワット、レッグランジ
体幹部ではクランチ、プランク(腹筋強化種目です)
背筋種目としてバックエクステンション、チンニング(懸垂)が紹介されています。
これらはもちろん有効でTさんとも日々行っているお馴染みの種目ですが、
重要なのは、これらがパフォーマンスアップのための二番目のボタンだということです。
クランチのフォームを例にとると、一見上体を起こすだけのとてもシンプルな運動ですが、
股関節と脊柱関節を曲げる動作の間だけにも、
手足のつま先から頭のてっぺんまでカラダ中のインナー/アウターの筋肉が伸びたり縮んだり止まったまま力を発揮しています。
人間のカラダはただ立つというだけでも全身が連動しています。
何かのエクササイズ、トレーニングのフォーム以前に、カラダ自体の連動はどうなのか?
そこが「一番はじめのボタン」になります。
洋服を着るときに一番はじめのボタンを掛け違えたら、その後も全部がちぐはぐになってしまいます。
カラダには足底筋膜や手掌筋膜、脊柱神経による反射をはじめ、さまざまな運動エネルギーの流れが存在します。
その流れをスムーズに行うためには、物理的な筋肉バランスと動きに対する感覚バランスの両方を調整、強化する必要があります。
こちらは僕がオンラインレッスンで使っている、ヨガのチャクラをベースにしたカラダ連動の資料です。
詳しい説明はここでは省きますが、末端の反射やカラダの中心にはそれぞれの機能や感覚的な使い方があり、それは物理的な筋肉とも関連しています。
その連動はとても繊細で奥が深く、クライアントさんの目的や状況によってトレーニング法が異なりますが、
Tさんとのパーソナルトレーニングでも、
・一番はじめのボタン=カラダそのものの連動、調整強化
・二番目のボタン=カラダの連動を使った上でのさらなる筋強化
・三番目のボタン=重心やイメージなど、より高度なカラダの感覚や実技パフォーマンスアップ
という認識を共有した上で進めさせて頂いています。
他のページでも 運動の一番はじめのボタンについて説明しています。
三つのコツ -運動連鎖、体軸、筋バランス-
よくあるエクササイズ指導が不十分な理由
よろしければご覧ください。また何か質問等ございましたらお問合せフォームからお寄せくださいませ。
ゴルフスイングのポイント① 股関節を中心とした連動
ゴルフに限らず、野球の投球動作やバッティング、テニス、ボクシングのパンチなどのスイング系をはじめ、多くのスポーツ動作に共通する重要な要素として、股関節と膝関節の連動による脊柱の捻りと、それに伴った体重と重心の移動があります。
体重移動と重心移動はまたさらに奥が深く、ここで書くと記事のまとまりがなくなると思われますし、スイング動作ひとつとっても他にもさまざまな着眼点がありますが、
今回は股関節にフォーカスした連動に的を絞ってご説明します。
スイング系スポーツ実技動作においては、屈曲⇄伸展+内旋⇄外旋の股関節動作、とそれに伴う膝関節の屈曲⇄伸展、その結果としての脊柱の回旋、これらの組み合わせが土台となります。
とりあえずここでは、
屈曲=曲げる
伸展=伸ばす、開く
回旋=回す
内旋=内側に捻る
外旋=外側に捻る
と捉えてくださいませ。
まずこれらの関節動作について説明していきます。
トレーニング種目の代表とも言えるスクワットです。
黒楕円のところが股関節屈曲⇄伸展(曲がる⇄開く)、赤楕円のところが膝関節屈曲⇄伸展動作(曲がる⇄伸びる)となります。
スクワットの場合は股関節と膝関節が同じ関節動作を行います。
今度は骨で見てみましょう。
黒丸が股関節です。ソケット(寛骨臼)に収まっている大腿骨がいろいろな方向に動きます。
赤矢印のように外側から内側にねじる動きが股関節内旋、逆に内側から外側にねじる動きが外旋です。
大腿骨が垂直なまま、これを見ているあなたの方に真っ直ぐ動くと、さきほどの股関節屈曲動作になります。
ゴルフスイングのインパクトからフィニッシュにかけては、股関節が伸展(開く)しながら右の股関節が思い切り内転(中心に向かう動き)しつつ内旋します。
次にこちらに骨盤の動きについての素晴らしい内容の動画解説がありますのでご紹介させて頂きます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZLr71vBwBAw&list=RDLVApsrZrrpMwI&index=1
動画5分過ぎあたりからの動きがゴルフほか、野球、ボクシング、テニスや卓球などスイング動作の土台となります。
右に捻る動作がゴルフにおけるテイクバック〜トップ動作です。
右の股関節が深く屈曲したときに内旋、右膝関節が伸展、左股関節は外旋、左膝関節が屈曲します。
それに伴って右に脊柱が回旋します。
左に捻る動作が切り返し〜ダウンスイングです。
先ほどと反対動作、左の股関節が深く屈曲したときに内旋、左膝関節が伸展、このとき右股関節は外旋、右膝関節が屈曲します。
それに伴って左に脊柱が回旋します。
ぜひこの骨盤帯、股関節、膝関節の連動をご自身でチェックしてみてください。
例えばこの動作をやってみたときに、膝が左右にぶれることなく前後に動いているでしょうか?
これは体の動きにおける基本ですが、膝関節が動くとき、膝の中心がつま先の中心と同じ方向を維持できているか確認してみましょう。
もしこれがうまくいかない場合は先述した「一番はじめのボタン」そもそもの体の連動がうまく機能していないと予想されます。
または膝の向きは大丈夫だけれど、過剰に膝が突っ張って強く動いてしまい、連動がしっくりこないこともあると思います。
膝とつま先の中心が維持できない場合は、股関節の内外旋筋群、あるいは足底筋膜群の反射や膝下の筋群バランスに原因があるかもしれません。
膝が力んで突っ張った動作になるのは、太もも前(大腿直筋)の筋肉の強さに対して、同じ機能を持つ腸腰筋が弱いケースや、拮抗筋であるもも裏(ハムストリングス)がうまく機能していないことも考えられます。
他にも人によってさまざまな要因が考えられますが、
動作がスムーズにいかない場合、問題のある部分を個別にコンディショニングしながら全身の連動と調和させるのが理想です。
ゴルフスイングのポイント②| 股関節屈曲を意識した強い連動
ここまで書いた連動に問題がない場合は、以下のような感覚でより強く股関節を使うことが可能となり、フォームの安定や飛距離アップにつながると言えます。
再び先ほどの動画を引用させて頂きます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZLr71vBwBAw&list=RDLVApsrZrrpMwI&index=1
7分過ぎからのところ、
股関節をしっかり使うと強いポジションに入る、スクワットと同じような力強さでスイングを行うことについてです。
ポイントは股関節屈曲(曲げる)動作のコントロールです。
まずもう一度確認してみましょう。
①が右股関節②が左股関節です。
スクワット動作で股関節を屈曲する=脚の付け根の中心である①と②の部分を、お尻に向かって食い込ませる感覚を掴みましょう。
できたら左右個別に意識して交互に食い込ませてみましょう。
体の基礎連動ができていれば、自動的に股関節が微妙に内外旋し、膝と脊柱も今までの説明通りに動くはずです。
少しだけつま先を外側にむけるアウトスタンスにするとわかりやすいと思います。
実際にゴルフスイングに当てはめてみます。
↑アドレスからテイクバック動作を、①の右股関節をお尻に向かって食い込ませる感覚と連動するよう意識してみましょう。
①右股関節食い込みによってシャフトを動かせるでしょうか。
↑テイクバック動作からトップにかけてを横から見てみます。
①右股関節がお尻に向かって食い込み
②右膝が伸び
③左膝が曲がり
④背骨が右にねじられる。
この連動を①を起点にして行う感覚です。
↑トップからダウンスイングにかけてです。
テイクバックからトップまでと逆の関節動作になります。
トップからの切り返しを、①の左股関節をお尻に向かって食い込ませるのを起点に連動させることを意識します。
①左股関節がお尻に向かって食い込み
②左膝が伸び
③右膝が曲がり
④背骨が左にねじられる。
さてここが今回最大のポイントです。
バックスイングからトップまで起点だった⑤右股間節屈曲の意識を、①左股関節屈曲起点に切り返してダウンスイングが始まるわけですが、
このとき、100%全部をいきなり移し切るのではなく、⑤右股間節屈曲を維持しながら①左股関節屈曲起点をはじめると、
腰の入った力が貯まる感覚の強い動作ができます。また結果的にスイングにためとしなりが生まれます。
⑤右股間節屈曲を支点にしながら①左股関節屈曲を力点にするという表現で伝わるでしょうか。
この腰のため感がないと、膝が突っ張って早く伸び上がってしまうことになりがちです。
↓この後左右股関節が伸展し、右股関節が内転内旋してフィニッシュ姿勢になります。
ここでも左側面に壁をつくる感覚や骨盤の返し、体重と重心移動などさまざま留意点がありますが、
今回は「スイング動作初動における股関節の使い方」に絞ってお伝えしました。
股関節の使い方と強化、ケアと注意点
以上、
①カラダそのものの連動について
②ゴルフほかスイング系動作における体幹と下半身の連動について
③②をより強化させるポイント股関節屈曲動作について
の順にお話しさせて頂きました。
スイング動作には股関節が大きく関わっています。
その股関節動作の中で最も強い力を生み出すのは屈曲/伸展動作です。
スクワットやデッドリフトといった股関節をメインに使うウェイトトレーニング種目で、動く感覚を明確に認識すること、
腸腰筋、大腿直筋、(←屈曲)大臀筋、ハムストリングス(←伸展)など関与する筋群を強化することは、
確実にパフォーマンスアップにつながると言えます。
引用させて頂いた動画などを参考に、
(動画5分過ぎあたりからの動きがスイング動作の土台となります)
股関節内外旋と膝の動きの連動をチェックしたり、認識することも上達の近道だと思います。
今回ご紹介した股関節動作はゴルフに限らず、野球、ボクシング、テニス、卓球などにも有効です。
また骨盤帯を鍛えることは、ボディメイクや健康にも大きく貢献しますので、ぜひ参考にしてくださいませ。
ただし、これはダンスやウェイトトレーニングのアイソレートにも言えることですが、
体のどこか一部だけを過剰に意識しすぎると、カラダ全体の連動が崩れます。
ですので、体全体の連動を使ってそれプラス一部を使うというような感覚が必要です。
さらに言うと、とある技術やフォーム、身体機能を習得する際に何かを意識することは、無意識的にそう動くように訓練するということであり、
実技本番ではカラダの使い方などは考えないのが普通です。
意識と無意識のどちらがいい悪いの問題ではなく、プロセスや状況によるということなのですが、そのあたりについてもいつか詳しく記事にしたいと思っています。
ここまでです。
「○○すれば誰でも3日で必ず上達する」的なことを言えなくてすみません。
実際に一緒にトレーニングしていただければもっと全然わかりやすいのですが。。。
最後に、ゴルフはそもそもからして股関節屈筋群を多用する種目ですので、こちらのストレッチは必須になります。
デスクワークが多い方(座る姿勢は股関節屈曲状態が続いています)にもおすすめです。
クオリティの高い動画を公開してくださっているニーズトレーニングメソッドさま、
筋トレメニューを引用させて頂いたGOLFサプリさまにお礼申し上げます。
そして素晴らしい結果を手になされたTさんに尊敬と感謝をこめて、この記事の締めくくりとさせて頂きます。
前向きな気持ちと行動は必ず結果となって現れる。そのことを改めて知らせてくださいました。
またいつか12,000分の1の快挙に乾杯しましょう!