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ハッピーレシピとパーソナルトレーナー
以前あるインフルエンサーさんのインスタを見ていたら、こんな画像がアップされていました。
浅見帆帆子さんという作家の本がもとになっているらしいです。
いいことが書いてありますね。
冷静に見直してみると、これは幸福になる処方というだけでなく、パーソナルトレーナーとして、フィットネスインストラクターとしての心得にも通ずるように思います。
残念ながら僕自身も全部できてるとは言えませんが、クライアントさんのお悩みを引き受け、ご要望を共に叶えていくのがこの仕事ですから、笑顔ではなく優しくもないインストラクターというのは考えにくいですね。
ときおり、実技とカラダのつかい方について教えを乞うている武術の達人の先生がいるのですが、言葉は違えどこのハッピーレシピにある内容と同じようなことをおっしゃいます。
強さと優しさ、試練と幸福は表裏一体といったところでしょうか。
一見当たりまえのことが並んでいるようにも見えますが、本来そうあるべきことほど難しいのが、現代社会に生きる私達の姿のように感じます。
これはカラダの機能バランスやデザイン、食事や生活習慣すべてにおいても同じことが言えると思います。
そんなわけで、素晴らしいことが書いてあるハッピーレシピですが、挙げられているのは、おおむね心がけに近いもの、精神的な部分に関することが多いです。
そこで今回、パーソナルトレーナー歴10年超え、1000人以上の方の体調をともに考え、健康と体力、ボディデザインの向上を実践してきた窪田が、カラダからのアプローチで幸福になる処方を挙げてみました。
こんな感じです。
ハッピーボディメイクレシピ|ココロとカラダ
・からだの真ん中をつかう
・リラックスして(カラダの隅々まで)力を伝える
・バランスよく全身を機能させる
・運動でストレスを解消する (運動によって自律神経を整える)
・おなかの調子をよくする (腸内環境を整える)
・血行をよくする
・栄養バランスを考えた食事をとる
・酸素をカラダにいれる
・からだを温める (今は夏だから無視してください)
・血糖値を安定させる
・疲れをとることを怠らない (活性酸素を除去する)
・カラダに毒素を入れない
・運動を楽しむ
ハッピー、幸福というと、仕事や家事がうまくいった、子供が成長した、好きな人と結ばれた、臨時収入があったなど、外部的な要因を思い浮かべることが多いかもしれません。
それらはもちろん素晴らしいことですが、人生においては外部に対してもうひとつの側面、自分自身からもたらされる実感というものがありますね。
そしてその自分自身もまた心とカラダ、ふたつの要素から捉えることができると思います。
トレーニングやボディメイクにおいても自分への気づき、意識のあり方は結果に大きく現れます。
自らに対する敬意や信頼を手に入れることが、ボディメイクの真の目的といっても過言ではないでしょう。
まずカラダそのものは幸福かどうか?
そのことで人生全体の幸福度はずいぶんと違ってくるのではないでしょうか。
少し極端な僕の経験を例にしますと、1年半ほど前に夜中から急に頭と口が激しく痛みだし、このときばかりはなかなかにネガティブな気持ちになりました。
原因は親知らずで、ひさしぶりに医師の治療を受けて回復しましたが、健康のありがたみと、カラダの状態がメンタルに与える影響の大きさを改めて実感しました。
心身は切っても切れない関係。
カラダの状態が悪いとやはり心も病みがちになります。
体調が向上すれば、おのずとこみ上げてくる幸福感というものがあります。
ちなみにこれはゴールドジムのロッカーにも貼ってあった、フィットネスメーカーリーボック社のメッセージです。
参考:リーボック公式フィットネスサイト
先ほど挙げましたハッピーボディメイクレシピは、長年の経験と実践から得たカラダの処方箋です。
本当は書いてある項目全部を詳しく説明していきたいところですが、そうするととんでもなく長くなりますので、今回ははじめの3つ、カラダの使い方と、そこから派生して生まれる効果についてお話ししていきます。
幸福を増やす運動とカラダのつかい方
はじめの3つは、カラダの使い方に関することです。
からだの真ん中をつかう=体軸、
ほどよくリラックスして(カラダの隅々まで)力を伝える=運動連鎖、
バランスよく全身を機能させる=筋バランス、
この3つを修正して強化していくことは、TRUEBODYMAKESパーソナルトレーニング発足当初からぶれることのない柱です。
詳しくはこちらボディメイクとは?|女性向けエクササイズ三つのコツ
カラダは脳も内臓も神経も骨も筋肉も全てが連動していますので、バランスよく筋肉をつけて機能させるだけでもさまざまな相乗効果が生まれます。
実際にレッスンで行っている内容の解説を兼ねていくつか挙げてみます。
体幹部のトレーニングと幸福度の関係
腹筋群や骨盤まわりの体幹部の筋バランスがととのうと肋骨が締まります。
それによって内蔵が本来の位置にもどり、各臓器の機能が向上します。
特に日本人の3人に1人と言われる胃下垂の改善、腹圧が上がることで、腸の蠕動運動が増しての便秘の改善などは、筋肉のバランスが大きくかかわっています。
私たちが、幸福と感じるときの具体的な体内反応のひとつに、セロトニンとドーパミンというホルモンの分泌があります。
セロトニンとドーパミンは腸内でつくられて脳に送られます。
つまり腸内環境が悪いと、いくらいいと思える出来事があっても幸福を感じにくい体質になると言えます。
ハッピーボディメイクレシピの項目にもありますが、健康や心身のパフォーマンスを考えるときに、運動(外)と食事(内)からのコントロールでおなかの調子をよくすること、腸内環境の改善は、優先すべき必須項目です。
またカラダの中心部分、体幹の筋肉バランスは自律神経とも大いに関わりがあります。
試しにみぞおち辺りをつかんで確認してみてください。
もしあなたの肋骨が開きぎみで外側に広がっていたら、それはおそらく反対側にある腰まわりの筋肉群が緊張して、裏側に引っ張られていることが考えられます。
自律神経のひとつ交感神経は背骨に沿ってついています。
腰まわりの筋肉の緊張がかたよって続くと、交感神経を過剰に刺激して自律神経の乱れにつながると言われています。
交感神経が過剰に働くことは常に戦闘態勢でいることに例えられます。
交感神経が働くこと自体は悪いことではありませんし、運動にも必要不可欠なことですが、バランスを欠いて過剰になりすぎることは、不眠やイライラといった症状にあるように、幸福と真逆の状態と言えます。
自律神経バランスの乱れとカラダの反応についてはこちらも参照
体幹部の筋バランスをととのえることをはじめ、その人に合った正しい運動をすることが、すっきり感や元気を生むのは、自律神経の安定と大いに関連しています。
カラダの活性化と元気度
筋肉のバランスとカラダの機能の関係についてもう少し挙げてみます。
腹話術にみられるように、骨盤から胴部の深層筋群と、口腔や鼻腔、顔まわりの筋群はつながっています。
いちばんわかりやすい例で言うと爆笑すると腹筋が痛くなりますよね。
その両方から関係性をととのえながらエクササイズすることで、表情が明るくなるとともに、呼吸が安定し、適切な量の酸素をとりこめるようになります。
足つぼマッサージやリフレクソロジーに見られるように、足裏は全身の各部位と神経反射でつながっています。
土踏まずまわりをはじめ、足裏、ヒザ下の細かい筋肉群を調整して鍛えると、運動能力の向上はもちろん、歩くたびに全身の臓器や器官を活性化させることになります。
足裏や靴が運動と健康におよぼす影響についての記事はこちら
下半身を強化して首肩周りの筋バランスを整え、余計な力を抜くことを覚えれば、肩こり解消とともに、そのこり部分が遮っていた血液の流れがよくなって脳への供給が増えます。
頭の回転が速くなる、新しいアイディアが浮かぶ、ストレスが減るいったことにつながります。
このように、トレーニングやボディメイクは単純に筋肉や力がつく、外見が変わるというだけではなく、カラダの本質的な元気=幸福感に直結していると言えます。
現代社会の日常生活においては心身のバランスが偏りやすく、その人にとって優先すべき運動もさまざまです。
カラダやトレーニングの構造を考えずに、ただ単純に筋トレをはじめさまざまな運動をするだけでは、逆効果になることもありますが、
ボディメイクの本質|自己流トレーニングがうまくいかない理由 参照
ひとりひとりに合った方法で、全身の細かいところまで調整しながらトレーニングすることで、運動で幸福を増やすことは充分に可能と言えるのではないでしょうか。
本当の笑顔をつくるボディメイクトレーニング
TRUEBODYMAKESパーソナルトレーニングでは、クライアントさんの笑顔をつくるというメソッドが含まれています。
レッスン中は毎回高い精度で集中して運動して頂きますので、その分、できるだけ楽しんでもらえるようにという心がけや雰囲気づくりの要素もありますが、
それだけでなく、物理的に笑顔になるような筋コンデショニングをご希望に応じて行っています。
ここで言う笑顔をつくるとは、気持ちとは裏腹に偽の表情を浮かべるという意味ではありません。
これまでお話してきた通り、カラダの状態が良くなると自然と笑顔に近くなるように人はできていますので、まず構造的な機能を鍛え、そこに顔の表情筋を連動させる、言わばありのままの笑顔を定着させるトレーニングということになります。
頬骨筋には大頬骨筋と小頬骨筋の二つがあり、口を上や横に開いたり、口角を斜めに引き上げるなど笑顔の形成を担っています。
画像の青で塗ってあるのが小頬骨筋、黒で囲ってあるのが大頬骨筋です。
ひとつ上の画像、ダンベルでエクササイズしている女性は頬骨筋が機能しています。
頬骨のところが丸く膨らんで、顔の重心が上にありますよね。
芸能人やアスリートのみなさんは基本的にこの筋肉が発達していることがわかりやすい場合が多いです。
「この筋肉の鍛え方を教えて」と思ってもらえたら幸いです。
でもすみません、今回は表面的なフォームやエクササイズをご紹介するのは控えさせて頂きますので、興味のある方は「頬骨筋」と検索してみてください。
ただし実際にエクササイズを行う際は注意が必要です。
もしそこだけを鍛えたいということであれば、割り箸を横に咬む、そのまま鼻を上に持ち上げるなどいろいろと考えられます。
しかし、それが全く効果がないとは言えませんが、当サイトのいろいろなページでお伝えしている通り、本来の運動とは全身の連動で行うのが鉄則です。
もし顔の筋肉だけが個別に収縮するくせがついてしまったら、不自然な笑顔になるということは想像して頂けると思います。
これはフィットネスあるあるのひとつですが、トレーニングの表面的なフォームだけをやってみた結果、太ももの前だけが太くなったり、
肩や背中が力むクセがついてしまうことがあります。
参考:
運動やボディメイクで太もも前だけが発達してしまう原因
ですのでこの場合は頬や口まわりだけに過剰に力を入れないようにするのがポイントです。
前述しましたが、ヒザ下足裏から体幹、顔まわりの筋肉は特につよく連動していますので、それらを鍛えながら、カラダの軸を通してつなげるボディメイクトレーニングをすることで、うわべだけの笑顔ではなく、自然で本質的な柔らかい表情を定着させることが可能となります。
笑顔のパフォーマンス向上効果
笑顔の効果は多岐にわたります。
外見上やコミュニケーションにおいて好影響をもたらすことは言うまでもありませんが、鼻腔や口腔が広がることで、酸素供給量が増える→呼吸が安定する→自律神経が安定する→免疫力が高まるという好循環が生まれます。
頭部の重さは通常約5kg~約6kgと言われています。
この重さを顔の筋肉群で上に引き上げるか、そのまま下に乗せてしまうかは、スポーツや日常でのパフォーマンスに大きな影響を与えます。
笑うこと(あるいはそれに近い表情筋の動き)が、個人のパフォーマンスを上げること、ひいては競技や仕事においてプラスに作用することは、世界中の多くの研究機関で証明されています。
サッカーのブラジル代表チームが試合前に歌い踊って陽気になることでモチベーションを高めることは有名な話ですし、
青山学院大学陸上部の原晋監督が「ハッピー大作戦」「わくわく大作戦」と銘打った加点方式の指導で結果を出し続けているのもよく知られていますね。
直近では女子ゴルフの渋野日向子選手が、プロデビュー2年目にして全英オープン優勝というまるで映画のような偉業を果たしました。
勝因のひとつとして、自分にプレッシャーをかけないことを挙げていて、その屈託のない応対ぷりはスマイルシンデレラと呼ばれています。
プレイ中もキャディと冗談を言い合ったり、お菓子を食べたりしていたそうで、いかにいい意味で楽しむことが自分のポテンシャルを高めてくれるかを教えてくれています。
もちろんそれらは単純に楽をするということでなく、ベースとして集中力や、積み重ねたトレーニングがあってこそのものですが、何事に対しても明るくポジティブな姿勢がよい結果を増幅することは、これからより一層認知され定着していくように思います。
とある日仕事を終えてゴールドジム渋谷店で自分のトレーニングをしていたときのことです。
脚部を鍛えるためのレッグプレスという定番のマシンがあるのですが、そこで外国人の男女がペアでトレーニングをしていました。
女性がマシンに座り、動かそうとしているのですが、負荷の設定が高すぎたのか押し上げることができません。
そのとき彼女が彼にこう呟きました。
「キスミー」と。
次の瞬間、マシンはスムーズに動きだし、彼女はそのまま8レップ(回)のトレーニングをこなしました。
全部でほんの数秒間の出来事ですが、彼の唇が頬に触れたときの一瞬の笑顔と、その後の真剣な眼差しが印象的でした。
理解や共鳴がトレーニング効果を上げる
理解や共感がパフォーマンスを上げてくれることは、誰しも一度は経験があることだと思います。
もちろん彼らとは文化の違いもありますし、仕事としてのパーソナルトレーニングの現場ではその行動自体はあまり参考にならないのですが、人と人とが共鳴したときにエネルギーが増幅することは、レッスン中でも日々実感しています。
これはコミュニケーション面のみならず、カラダの連動、運動神経の伝達状況においても同じで、クライアントさんががんばってくださって動きがよくなるにつれて、僕も元気が増えていくことを感じます。
そうするとその分よりクライアントさんによくなってもらおうとしますので、お互いを高め合う相乗ループが発生します。
幸いなことにパーソナルトレーニングにおいては、個人個人の考え方や立場、性別、性格の違いなど、一般に理解の妨げとなるものを超越したところから共鳴が起こることが多いです。
運動にはそれだけの力があります。
もちろんトレーニングメニュー自体はその人のカラダの状況によって違うものになりますし、そういった個別性を考えた上で、カラダの機能を調整するプロセスを経た上でのことですが、
共に運動し、カラダが人本来のバランスで機能し始めたときに、よりパフォーマンスが高まるというところは、個人個人の違いとは関係なく起こる、万人に備わった本質なのだと思います。
僕は、クライアントさんが本来の身体機能を発揮し輝いているその瞬間を見ることが本当に大好きです。
ハッピーボディメイクレシピまとめの項
ともあれ私達TRUEBODYMAKESは長年の経験から、その人にとって正しい運動を共に行うことが、心身のパフォーマンスを向上させることをクライアントさんから教えて頂きました。
そういった幸福な本質が誰にも例外なくあることを知っています。
しかし、まだまだ運動やトレーニングに対して、ポジティブな実感を持っている人は少ないのも事実です。
2018年に発表されたWHO(世界保健機関)の報告では、運動不足が原因で、心臓疾患やがん、糖尿病などの非感染性疾患になるリスクが高い人の割合は、日本でも男性34%、女性36%であり、世界の青少年人口の80%以上は、身体活動が不足しているとあります。
参考サイト:公益社団法人日本WHO協会
平成25年に文部科学省により実施された「体力・スポーツに関する世論調査」によると74.6パーセントが、平成29年に行われたスポーツ庁の「スポーツの実施状況等に関する世論調査」では79.5パーセントが運動不足を感じると回答しています。
その理由として「忙しい」が46.7パーセント、「面倒くさい」が42.3パーセントという結果となっています。
データ抜粋:文部科学省統計情報
スポーツ庁報道発表資料
この残念な現実に私達はパーソナルトレーナーとしてこのように提案します。
パーソナルトレーニングなら週に1時間だけで、まとめて運動不足を解消し、それ以上の効果を手にすることもできます。
ひとりでは面倒くさいことでもプロと一緒なら無理なくがんばれます。
運動で世界を変えるのは難しいかもしれませんが、運動で自分の世界を変えることは100パーセント可能です。
少しだけ勇気を持って向き合えば、カラダは必ず応えてくれることでしょう。
この記事を通して、少しでも多くの方が、今よりよくなる明日や、人本来の素晴らしさを感じとってくだされば、それこそが私達の幸福です。
2019年7月31日TRUEBODYMAKESパーソナルトレーナー 窪田志尚
※毎日が楽しくなるパーソナルトレーニングの画像ありリアル体験談はこちらハッピーパーソナルトレーニング
トレーニングを楽しみながら結果を出すことの他の記述は別ページ本能的に楽しい運動をご参考ください。
参考文献:
人を育て 組織を鍛え 成功を呼び込む 勝利への哲学157 -原晋、魂の語録 -(原晋著 /ぴあ)
腸脳力 心と体を変える底力は腸にある (長沼敬憲著/BABジャパン)
腸内革命―腸は、第二の脳である (藤田紘一郎著/海竜社)
心と身体のパフォーマンスを最大化する 「氣」の力
- メジャーリーグが取り入れた日本発・セルフマネジメントの極意 -
(藤平信一著/ワニブックスPLUS新書)
笑いの力 (河合隼雄/筒井康隆/養老孟司 著/岩波書店)
ホルモン力が人生を変える (堀江重郎著/小学館新書)
「代謝」がわかれば身体がわかる (大平万里著/光文社新書)