最近いろいろな方から問い合わせメールやご質問を頂きます。
一般の方やこれからパーソナルトレーナーを目指そうという方、養成コースを担当した生徒さん経由での、現職パーソナルトレーナーの方など、なかには直接ジムに会いに来てくださった方もいらっしゃいます。
みなさんこのWEBをよく読んでくれているようです。
ご質問の内容は、どうしてそんな結果がでるのか、具体的にどんなことをしているのか、楽しくトレーニングするとはどういうことなのか、といったことが多いです。
大変ありがたいことですが、実際にお会いして話せる時間も限られていますので、今回は主にプロ指向の方向けに、あらかじめTRUEBODYMAKESが行っているボディメイクトレーニングや、仕事に対する考え方の一部を、少し専門的な視点からお話させて頂きます。
また一般のレッスン受講検討中の方にも参考になるよう、実際の結果をふまえながら、普段の生活にもお役立てできるような、なるべくわかりやす例を挙げて書いていきます。
Contents
パーソナルトレーナーによる姿勢改善トレーニング結果
まず8月のことですが、以前依頼を受けたクライアントさんのご紹介で行った、Aさん(20代学生)の初回一回のみのボディメイク結果画像と感想をご紹介します。
ご要望事項は、O脚、カラダの歪みの改善、肩こり、慢性的な倦怠感の解消です。
撮影場所:ゴールドジム原宿エレベーター前 (画像のシルエット加工等一切ありません)
パーソナルトレーニング効果の感想
・鏡に別の自分がいます
・学校の体育以外で運動したのは初めてだったけど全然大丈夫だった
・テンションが上がって今、幸福な気分です
・肩のこりを感じなくて体が軽い
・足がしっかり地面についている感じ
・カラダ全体の引き締まりを感じる
・なんだか何とも言えない安心感でいっぱいです
窪田パーソナルトレーナーによるトレーニング解説
まず最初に感想と画像をご提供くださったAさんにお礼を申し上げます。
途中休憩を挟みながら90分ほど特別トレーニングを行いましたが、初対面と思えないほど信頼してくださって、集中して元気にがんばってくれました。
おかげでスムーズにトレーニングを進めることができました。
上がっていた左肩のラインが真っ直ぐになり、前後左右に歪んでいた骨盤の位置が適正な位置に修正され、広がっていた肋骨が閉じて、バストが上向き真ん中に寄ったことがおわかり頂けると思います。
トレーニング前と後では身長が1センチ以上伸びています。
(正確には伸びたのではなく本来の正常な状態に戻ったのですが)
TRUEBODYMAKESパーソナルトレーニングでは、
・体軸の構築(カラダの中心を使う)
・運動連鎖の向上(カラダの反射や体内の運動の伝わり方を向上させる)
・筋バランスの修正(目的に応じた筋肉をつける、余分な筋肉を落とす)
の3つを基本としています。
参考:
ボディメイクとは?|女性向けパーソナルトレーニング
それらは単に一定プログラムのエクササイズフォームを指導してカウントすることではありません。
その人の根っこにある運動能力や運動感覚そのものを鍛えて修正することで、本質的な向上を図るということなのですが、ここで全てを詳しくお伝えするのは難しいので、その中で今回は筋バランス修正法の、そのまた一部についてご説明します。
これはある程度以上キャリアがあり、個別プログラムを自分で組めるパーソナルトレーナーなら、当然理解し、実践していることですので、
これからパーソナルトレーナーを目指そうという方は、ぜひ参考にして頂ければと思います。
パーソナルトレーナーによる筋バランス修正の方法
拮抗筋とその崩れによるカラダの歪み
まずはじめに、全身の骨格筋には拮抗関係というものが存在します。
拮抗筋とは、お互いが相反する動きをする筋肉のことです。
例えば、肘から肩までの筋肉、上腕二頭筋と上腕三頭筋がそれにあたります。
肘を開いたときに表側になる、いわゆる力こぶと言われているのが、上腕二頭筋です。その裏側が上腕三頭筋です。
片方が縮むと片方は伸びる、図にするとこのようになります。
このように拮抗する筋肉同士が伸びたり縮んだりしながら、首、背骨、股、膝、足首など全身の各関節を動かしています。
関節の動きにもそれぞれ名前がついています。
この場合は肘が曲がることを、肘関節の屈曲、肘が伸びることを、肘関節の伸展と言います。
つまり上腕二頭筋が縮むと、上腕三頭筋が伸びて肘関節が屈曲し、上腕三頭筋が縮むと、上腕二頭筋が伸びて肘関節が伸展します。
日常において全身の筋肉をまんべんなく伸び縮みさせて、各関節をスムーズに動かし、この拮抗関係をバランスよく維持することが、よい姿勢、よいスタイル、よい運動機能を保つことにつながります。
しかし、例えば家事やデスクワーク、ストレスによる緊張など、長時間同じ姿勢や動作を続けることによって、とある筋肉が縮みっぱなしとなり、そしてその拮抗関係にある筋肉は伸びっぱなしの状態となり、この関係に偏りが生じます。
筋肉は長い間縮み続けると、固くこわばって伸びにくくなります。
これがカラダのこり部分や痛み、柔軟性低下の原因と言われています。
そうすると、その拮抗関係にある筋肉は伸ばされ続けて縮みにくくなります。
これがカラダのたるみ部分や筋力低下の原因となると考えられます。
そういった使いすぎ、使わなすぎのアンバランスな蓄積がカラダのあちこちで複合的に起こり、スタイルの崩れ、肩こり、腰痛、O脚などの歪み、身体能力の劣化を引き起こします。
肩こりの原因となる筋バランス状態と改善アプローチ
それでは今回はその中で、肩こりの改善アプローチを考えてみましょう。
実際には肩こりとなる筋バランスにも、その他の筋群との兼ね合いで、個人差やさまざまな要因があるのですが、今回は肩こりに最も直接関係が深いとされている、僧帽筋にスポットを当てて説明していきます。
僧帽筋は首と背骨の後ろ真ん中辺りから肩にかけて広がる筋肉です。
僧帽筋上部、僧帽筋中部、僧帽筋下部にわかれています。
このうち僧帽筋上部は、短く縮むことで肩甲骨を上に引き上げる役割を持っています。これに対して僧帽筋下部は、短く縮むことで肩甲骨を下に引き下げる役割を持っています。
僧帽筋上部が縮むと僧帽筋下部が伸び、僧帽筋下部が縮むと僧帽筋上部が伸びます。
先ほどの上腕二頭筋と上腕三頭筋と同じように、拮抗関係にあるということですね。
今回のAさんのトレーニング前の画像もそうですが、肩こりにお悩みの方は肩甲骨が上に引き上げられて、肩や首がすくんだ状態になっている場合が多いですよね。
これは僧帽筋上部が縮みっぱなしになって固まり、その拮抗関係にある僧帽筋下部が、縮む力を失くした結果ということになります。
ではその歪みを修正するにはどうすればよいでしょうか。
カラダのどこか一部の筋肉が縮みっぱなしになっている、と同時に、その拮抗関係にある筋肉が緩みっぱなしになっていることが原因なわけですから、
修正するためにはその逆のアプローチを行うこと、
・縮みっぱなしになっている筋肉(僧帽筋上部)をストレッチする
・緩みっぱなしになっている筋肉 (僧帽筋下部)を運動によって収縮させる
ことが基本となります。個々に考えてみましょう。
僧帽筋上部のスタティック・ストレッチ方法
僧帽筋上部は画像1のAとBのところにくっついていますので、筋繊維の方向に沿ってストレッチします。
画像でいうとBの部分に手を当てて固定し、首を反対側に傾けることでストレッチできます。
反動をつけずにゆっくりと傾け、そのまま息を止めないように20~30秒持続します。
このとき、しっかり地に足をつけたり、軽く腹筋に力を入れるなどして、カラダ全体も動かないようにする感じでやりましょう。
少し運動してから、あるいはお風呂上りなど筋温度が上がっているときに行うとより効果的です。
僧帽筋下部の収縮運動
僧帽筋下部は画像2のCとDのところにくっついていますので、これを収縮させる運動を行います。
①まず腕を水平かあるいは斜め上方向に開きます。
画像ではボールに乗ってダンベルを持っていますが、イスの上で素手で行っても大丈夫です。
②そこから黒矢印⇒の方向に腕を下ろします。
そうすると画像3のグレー矢印⇒の方向へ僧帽筋下部が収縮するのがわかりますので、
③そのまま肩甲骨をぎゅっと内側に締めます。
ただしあまり上半身に意識が集まると、カラダ全体の機能バランスが崩れますので、終わった後は爪先立ちをしたり、歩く走るなどすることをお勧めします。
このようにカラダの中で縮みこまっている部分の筋をほぐし、それと拮抗する筋を強化してバランスを改善することはボディメイクの基本概念です。
そのためにはまずそのクライアントさんのどこの筋肉に問題があるか、わからなければいけませんね。
キャリアを重ねたパーソナルトレーナーなら、クライアントさんと会った瞬間に、その人の全身筋バランスがわかりますし、少し歩いたり立ったり座ったりして頂ければ、その人の運動感覚や機能バランスがわかります。
やはりパーソナルトレーナー志望の方は、主要インナーマッスルを含め骨格筋の起始と終止、
(各筋肉が骨にくっついている位置のことです)
それぞれの基礎的な強化法とストレッチ法、各関節の動きなどは最低限記憶しておいたほうがよいですね。
結果の出せるパーソナルトレーニング技術とは?やりがいとは?
ストレッチも筋強化も奥深く多様な実践が必要
今回、ボディメイク結果とともに肩こり改善のための、筋バランス修正アプローチの一部をご紹介しました。
しかし実際にAさんの例のような、明確な結果を出すためには、その他にも考えなければいけないこと、行わなければいけないことはたくさんあります。
例えば、筋バランスだけとってみても今回の拮抗筋の関係だけではなく、さまざまなバランスが存在します。
主動筋と協働筋、同一動作筋肉同士のバランス、同一筋肉の左右差、カラダ全体の屈曲動作筋群と、伸展動作筋群の連動バランス、伸びながら力を発揮する伸張性(エキセントリック)筋収縮と、
伸びも縮みしない状態で力を発揮する等尺性(アイソメトリック)筋収縮の考慮など多岐にわたります。
(専門用語続けざまですみません)
(同一動作筋肉同士のバランス改善法の例はこちら):運動やボディメイクで太もも前だけが発達してしまう原因
またストレッチにも、ご紹介したスタティック・ストレッチほかPNFストレッチやダイナミックストレッチ等の種類があり、状況によって使い分ける必要があります。
筋強化の方法に至っては無限に存在すると言っても過言ではありません。
そもそもマシントレーニングに代表されるような、カラダの各パーツごとにアイソレートして筋強化を行うことや、ターゲットとする筋にのみ意識をおくスタティック・ストレッチは、必要で有効ではありますが、ボディメイクの一要素に過ぎません。
冒頭でお話したように、カラダの各部位へのアプローチだけではなく、全体的な運動の伝わり方、引き締め合い、カラダの中心軸の構築などとふせ合わせて考えなければなりません。
それらを総合して念頭に置きながら、クライアントさんの現状に合わせて、臨機応変に個別プログラムを組み、明確な結果を出すことが、パーソナルトレーナーの技術だと私たちは考えています。
パーソナルトレーナーはリアルジョブ
トレーニングして頂くのはクライアントさんですし、そこから生まれた結果もクライアントさんのものです。
しかしその生み出される結果の度合いは、パーソナルトレーナーが提示するプログラムとコミュニケーションによって歴然とした大きな差があります。
よってパーソナルトレーナーは、さまざまな意味において、運動しているクライアントさんよりも、多くのエネルギーを注がなければなりません。
私たちTRUEBODYMAKESもどれだけクライアントさんのお役に立てるか、より多くの可能性を引き出せるかと日々奮闘しています。
セッションの積み重ねの中でまた新たな発見があり、そしてその都度まだまだ学ぶべきことがあることを感じます。
しかしこれだけは自信を持って言うことができます。
パーソナルトレーニングは嘘のないリアルな仕事です。
さまざまな価値観や考え方が混在する現代において、カラダは数少ない万人の根本的共通事項と言えるでしょう。
多くの方のカラダと向き合うことで、人の本質に触れ、知ることができます。
有効なプログラムを共に実行することができれば、トレーニングが進むにつれて、クライアントさんはどんどん輝いていきます。
カラダのラインが変わり、表情が明るくなり、元気が増していきます。
そこには年齢も性別も職業も関係ありません。
つまり人の本質とは、本来は誰もが素晴らしい存在であるということにほかなりません。
私たちはその瞬間瞬間を目の当たりにすることができるのです。
どうでしょう?ちょっとわくわくしてきませんか?
現在パーソナルトレーナーとして活動中の方、これからパーソナルトレーナーを目指そうという方が、この記述を通して、この仕事の奥深さと面白さ、やりがいを少しでも感じとってくれれば嬉しく思います。
参考:
パーソナルトレーニングとは?パーソナルトレーナーについて
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文章の引用につきましては、フィットネス界発展につながる内容でしたら結構ですが、引用元の明記をお願いします。
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